白いお米が出来るまで
普段私達が家で食べる白いお米。
どうやって作られていると思いますか?
「畑で育ったお米が精米され、精米されたお米が袋詰めされてスーパーに陳列されてる」ざっくりそんなイメージをお持ちだと思います。
でも、畑での収穫から私達が目にする白いお米になるまでには、想像以上の多くの工程、時間と労力が掛けられています。
大きな工程としては「精米」と「保管」。その2つの工程に多くの技術、機械、管理環境があり、もちろんそれを動かしているのは全て人です。
精米の工程
「精米」は単に精米機という機械があって、収穫したお米をそこに入れれば真っ白なお米が出て来るわけではありません。
畑で収穫された稲はまず天日だと1週間ほど乾燥させます。
良く稲刈りの終わった畑で見る束になった稲が何層も重ねられて垂れ下がる風景、あれが乾燥工程です。これは古くから伝わる「稲架掛け(はさかけ)」という作業なのですが、夕日に当たる稲架掛けの風景は本当に綺麗ですよね。
今は多くの農家が高齢化や人手不足の為に、乾燥機に掛けて自動で乾燥させています。(稲架掛けのお米は天日干し米として売り出されています。)
次に乾燥した稲の穂先から籾を落として行きます。この作業が脱穀。昔の言葉で「稲扱き(いねこき)」と言います。今は機械で行っていますが、昔は「千歯扱き(せんばこき)」という農具で行っていました。気の遠くなる作業です。
こうしてようやく籾が付いた状態のお米「玄米籾」が出来上がります。
次が「籾すり(もみすり)」の作業。これは籾から籾殻(もみがら)を取り除いて玄米にする作業で、「脱ぷ」とも言います。
「臼でひく」の代表的な作業がこれで、石と石の摩擦で籾から籾殻を除去します。
これも今は回転速度の違う2つのロールを通過させる事によって籾殻を剥くロール式の籾すり機や、籾を高速で壁にぶつける事で脱ぷする衝撃式の籾すり機によって行っています。
これでようやく出来上がるのが「玄米」です。
〔ここまでのまとめ〕
・稲刈り
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・乾燥 収穫した稲を乾燥する作業
↓
・脱穀 稲の穂先から籾を落とす作業
↓
・籾すり(脱ぷ) 籾から籾殻を除去する作業
さて、ここまでがだいたい農家や農協で行う作業。
ここからが我々が良く言う「精米工場」が行う工程に入ります。
農家から納入された「玄米」は、ホッパーという機械に流し入れられます。この投入口は網目になっていて、大きな異物(稲の葉や藁くずなど)が入らない様になっています。
ホッパーから投入された玄米は昇降機によって天井近くまで押し上げられ、そこから流下式選別機に入り、玄米に混入している紐、藁、紙くずなどの粗ゴミを除去します。
これが玄米タンクに一定量貯めこまれ(流量を管理する為)、そこから石抜機という小石など小さな異物を取り除く機械にかけられます。
これでようやく「精米」の工程に入ります。
様々な機械を通り、異物が全て取り除かれた玄米を、お米同士の摩擦や機械の中に入っている小さな小石とこすり合わせる事で、玄米の周りに付着する糠を取り、きれいな白米にして行きます。
さて、ここからは精米されたお米の品質を高めて行く作業です。
まず、ロータリーシフターという機械式の篩(ふるい)にかける事で虫食いで欠けたお米、形の悪いお米、糠玉と言われる糠(胚芽や種皮)の塊を高精度に分離して行きます。
形の選別が終わったら、次は色の選別です。
光学色彩選別機というCCDカメラとNIRカメラにデジタル画像処理を加えた高精度な色彩選別機にかける事により、病気や高温障害、未熟による変色個体を高精度に取り除いて行きます。
商品として密閉される前の最後の工程は金属検査です。一般に金探と呼ばれている金属探知機にかける事によって、混入する小さな金属片などを徹底的に排除して行きます。
これで「精米」としての工程は終わり。
〔まとめ〕
ホッパー 大きなゴミを除去する作業
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流下選別機 小さなゴミを除去する作業
↓
玄米タンク 次の工程に入る流量を管理する為のタンク
↓
石抜き機 小石を除去する作業
↓
精米機 玄米を白いお米にする作業
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ロータリーシフター 形の悪いお米、糠玉を除去する作業
↓
光学色彩選別機 色の悪いお米を除去する作業
↓
金属探知機 小さな金属片を除去する作業
↓
袋積め 軽量して袋詰めする作業
ここまで「精米」の作業、つまり畑で収穫される稲から白米になるまでの工程をご説明しましたが、想像していた以上にお米を綺麗にして行く作業が大変だと言う事をお分かり頂けたと思います。
精米後の保管
お米が私達の家庭に届くまでにはまだもう一つ、「保管」と言う大切な工程が残っています。
皆さん、お米はどれくらいの期間召し上がりますか?秋に収穫される作物だけど、冬にも春にも夏にも、恐らく1年中召し上がりますよね?なぜなら、スーパーや、今ではコンビニに行けば24時間365日お米は陳列され、いつでも美味しいお米が食べられるからだと思います。
でも不思議だと思いませんか?
お米は穀物とはいえ野菜と同じ生鮮食品。収穫されるのは秋なのに、次の年の夏にも鮮度が保たれた美味しいお米が食べられるなんて。
これは農協や米穀会社がその年に収穫されたお米を徹底的に温度/湿度管理をした倉庫で保管し、いつでもお客様の元に届けられる様準備してくれているから。
(※温度15℃、湿度70%で保管する事で、お米にかかるストレスや劣化を防ぎ、更に虫の発生を防いでくれます。)
1年を通して品質を保ってお米を管理する事は、我々消費者が美味しいお米を食べ続ける為に無くてはならない重要な工程である事、お分かり頂けたと思います。
農家はお米を丹精して育て、秋に収穫し、そこから次のシーズンに向けて準備を行って行く。変わって農協や米穀会社は、秋に収穫されたお米を徹底的な管理で保管し、精米し、製品にしてお客様にお届けする。
農家、農協、米穀会社が役割分担して、力を合わせる事でその地域のお米を守っているのです。
「みみみ食堂」で販売しているお米全てが今までご説明した「保管」「精米」の工程を経て皆様のご家庭に届けられます。
※玄米の状態で保管されたお米を、お客様からご注文頂いてすぐに精米し、精米したて、鮮度が一番良い状態でお届けしています。